紅白歌合戦とAmazon

2022/1/3

年末の紅白歌合戦、視聴率が過去最低を更新したとの報道があった。
平均世帯視聴率が34・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、3軒に1軒は紅白歌合戦がTVから流れていることになる。
調べてみると1963年(昭和38年)の視聴率が最高で、81.4%。日本は高度経済成長期の真っただ中。1984年(昭和59年)、バブル経済が始まる直前まで概ね70%を超えている。

高度経済成長期は、日本人の所得が大幅に増加した時期で、大量消費が始まった時期だと思われる。テレビの所有台数も大きく伸びた。それまで紙以外のメディアは、ラジオが主流だった自宅での娯楽もテレビに切り替わったころ。全国民がテレビにくぎ付けになったのだろう。

2000年以降は多くの人がインターネットを使い始め、ブロードバンドも普及し、ネット動画を見る人も増えてきた。他人と同じコンテンツを視る必要も無くなった。

Amazonが日本でサービスを開始したのが2000年。
最初は「本(書籍)の通信販売」程度の会社かと思っていた。その後の事業拡大が想像できていれば株式で大金持ちになれていたのだが、そこは先見の明がなかった自分の残念なところである。

マーケティングの世界では、大量に作れば大量に売れる(マス・マーケティング)から、特定の消費者層をターゲットにした商品(ニッチ・マーケット)。個人向けの場合は、Amazonに代表される個人向け商品(パーソナル・マーケティング)が主流になっている。

紅白歌合戦は、この区分けで考えると老若男女すべてをターゲットにしたマス・マーケティング。
いまだに昭和の高度経済成長期の手法を続けているとも言える。テレビ離れが進む現在、多くの視聴者が共有できる話題(番組)を提供する役割は終わっている。そんな中、過去最低とは言え約1/3の視聴者を惹きつけているのは上出来。実際にテレビをつけている人たちがテレビを視ているかどうかはわからないが。
色々と批判を受けているが、他局の番組が紅白歌合戦を越えられないのは事実。

せっかくなので、マス・マーケットをターゲットにした時代に逆らう番組で、パーソナル・マーケティングで成功しているAmazonやGoogle、Yahoo、楽天と言った企業にどこまで対抗できるか、NHKは挑戦し続けて欲しいものだ。

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