ヨットレース

2021/5/4

5月の連休、例年だと、気候が暖かくなり、吹く風も程よくなり、週末セイラーが海に出始める時期。ヨットハーバーに行き「今年もよろしくお願いします」と挨拶をする(自分たちだけかも?)時期。
レースに本格的に参戦するレーサーにとっては、北西の風が強い冬場の方が風が良いので、5月がシーズンの開幕時期では無い。念のため。

昨年からは、海に出られない生活が続いているが、先日NHK BSでヨットレースの特集番組を放送していた。
ヴァンデ・グローブ(Vendée Globe)単独無寄港世界一周レース。

レース中には、民放テレビ局のニュース番組でも短時間の中継映像が流されていたが、2020年から2021年にかけて行われた第9回大会では、唯一のアジア人出場者・白石康次郎さんが日本人で初めて完走を果たしたことでも話題になった。

風だけが動力源のヨットに、たった一人で、しかも途中どこにも寄港しないで世界一周。並大抵のことではできない。
例えば、登山で言うと、エベレストに無酸素登頂するようなものだろうか?

社会人になったばかりの頃、会社にヨット部があり、30フィートのクルーザーを持っていた。ホームポートは静岡県の沼津。
大抵は、週末の昼間に数時間セイリング、月2回はローカル・レース、を楽しむだけだったが、西伊豆の海を舞台にした夜のレースも年に1〜2回あり、数回参加したことがある。
素人にとっては夜のセイリングは少しだけ怖い。レーダーその他の衝突防止用の装備が無いことが大きいかも知れないが、ウォッチ(見張り)をしっかりしてないといけない。

基本的には、夏の太平洋側は風も弱く、それ程危険な目に遭ったことは無いが、陸の灯りと海の貨物船の灯りなどの距離感が分からなく、また、適度な揺れは揺り籠で揺られている感じで眠くなる。自動航行装置なども無く、交代で舵を握っていなければならなかったが、一人だと眠ってしまう危険があったので最低でも2人は起きている交代制。
風が弱いと、ヨットの航行に連れて夜光虫が光ることもあり、それなりに退屈しのぎはできた。

レースだと他の艇もいるのだが、夜中はよほど近くにいない限り、どの艇がどこにいるかは分からない。夜明けが近付き、明るくなって来て初めて自分たちの艇の位置が分かる。
西伊豆のレースでは、夜明けごろに折り返し点を回航する感じだったので、おおよその順位もそこで分かった。

折り返し点を過ぎてからは、明るい時間帯、陸を見ながらのいつも通りのセイリング。沼津に近づくにつれ、陸の形も見知った光景になり、安心できる。従って、折り返し後のレースの状況はほとんど印象・記憶には残っていない。
そんな、夜にスタートして、翌日の昼前後にゴールするような短いレースでも、一人で完走することはとても考えられないことだった。

船の装備やGPSの普及など、技術の進歩はあっても100日間も一人でレースを行うVendée Globe、改めて白石康次郎さんの偉業に祝意を表したい。

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