台湾 – 現地の見方
台湾も世界の対立の中で、経済的には厳しくなっている。
台北の街を歩いている限り、そんな感じは全くしなかったが、出張中に会った人たちから聞いた話の一端を紹介してみたい。
台湾も日本と同じで、若者は自由な生活を望み、晩婚・少子高齢化が進んでいる。
労働力不足を補うため外国人労働者に門戸を開放したところ、インドネシアやベトナムなどから多くの労働者が台湾に来ている。それに伴い外国人労働者向けのレストランも増え、ベトナム料理店が集まった一角もあるらしい。本場ベトナム料理を楽しめるということで、台湾人にも人気があるそうだ。
一方で、門戸を開放したことで、日本に働きに行く台湾人も増えた、と言う人もいた。話の流れだったのか、本当の話しなのかはわからなかったが。
世界的な緊張、最も影響があるのは、米中貿易戦争、と言うのは想像に難くない。
同じ中国語圏と言うことで、台湾企業の多くは中国大陸に工場を持っているが、中国製品のアメリカへの輸出関税率が高くなることを敬遠して、工場の台湾回帰や東南アジアの国々への移転などが進んでいる。
ある人に聞いた話では、ベトナムに進出して20年以上になる台湾企業が、ベトナムの工場に台湾企業トップを招いて視察会を行った時、60~70名の企業トップが参加したそうだ。
米中摩擦に関連し、台湾企業が中国大陸から輸入する物品の手続きが煩雑になった部材類もあるとのこと。こちらは、台湾側の施策で、政治・経済の問題なのか、技術的な問題なのかわからないが、関連企業には少しばかりの影響が出ているようだ。
また、中国人観光客が大幅に減っている。中国共産党の台湾の大陸離れを牽制するための施策のため。
“日韓摩擦で、韓国人の訪台客は増えているんじゃない?”と聞くと、増えている実感は無い、とのことだった。それよりも、韓国人観光客は、台湾でお金を使わないので韓国人観光客が増えても台湾経済にはメリットはほとんど無い、と言っていた。
話のついでに、彼らの間で韓国人の悪口が始まったが、こちらが日本人だから気を使って言っているのか、本音なのかわからないが、内容は敢えて触れないことにする。
台湾に対する内外の施策は、台湾の政権により大きく変わるようだ。来年(2020年)1月に次の大統領選が予定されている。次の政権により、上に書いた情勢が大きく変わる可能性もある。
現政権の政策と言えば、原発を停止し、自然エネルギー発電(太陽光や風力)を増やすというものもあり、直接・関節に関連する産業がビジネスチャンスを模索している(今回の出張目的も僅かではあるが関連すると言えば関連するのであるが…)。
これらの施策も次期政権がどうなるかによって、全く変わってしまい、企業の努力が無駄になってしまう可能性もゼロでは無いようだ。
大統領選挙の結果によって急激に変わることは無いだろう、と思われるのは、以前にも書いたが、台湾は親日、と言うこと。
今回訪問した企業の標語にはこんな表現があった。
・ドイツのような高い技術で
・日本のような緻密さで
・台湾の情熱で
製品開発を進めていく、
と言うような内容だった。日本への尊敬を表現し、少し気恥しい感じもしたのと同時に、日本はもはや技術先進国では無いのだな、と感じた。