新札と偽札と半導体
2024/7/6
7月3日新紙幣が発行された。2024年(令和6年)以来20年ぶりらしい。前回の印象が無い、と思っていたが日本には住んでいない時だった。
新紙幣の発行目的のひとつは偽造防止だという。
前回新札が発行された20年前、中国に住んでいた。約3年半。中国では経済発展が本格的に始まろうとしていた時期、現在の中国では当たり前のキャッシュレス決済についても影も形もなかった。クレジットカードも使える店は限られていて、支払いはほぼ現金。現地法人の所長はいつもアタッシェケースに現金を詰め込んで持ち歩いていた。
最高額紙幣は100元(当時のレートでは約1500円)。物価が安かったとはいえ、流石に100元札1枚で買えないものもたくさんあった。100元札を5枚、10枚など複数枚支払うことは当たり前だった。当然お釣りも現金。100元札をお釣りでもらうことは無いが、その次の高額紙幣、50元札はよく返ってきた。これに気をつけなければいけなかった。
偽札
たった3年半の生活だったが、覚えている(気がついた)限りだけでも2回は偽札を掴まされた。受け取ったときは気づかないのだが、次の支払時に偽札だと返されることが普通だった。チェックの厳しかったのはタクシー。ブラックライト(紫外線ライト)で必ずチェックされた。
掴まされた50元札をどうするか?チェックの甘い店などで懲りずに支払って、使ってしまう。というのが解決策。
そんな中国は、今ではすっかりキャッシュレス大国。もう5年以上中国には行っていないが、この1〜2年間に話した中国人は現金の持ち歩きは無い、と言っていた。
キャッシュレス決済がここまで進んだ大きな理由の一つが偽札対策。
日本の新札と中国のキャッシュレス、どちらも偽札対策。方向性は全く違うが理由は同じ。
どちらが正しい方向か、これにはいろいろな意見があるに違いない。
新札発行に関し、個人的に感じるメリットは印刷技術の向上。
今回の新札にはホログラムが採用されたという。
ホログラム自体はクレジットカードにも施されていて目新しいものでは無いが、新札に使われたのはそれなりの理由があるのだろう。
印刷技術が進むと半導体製造技術に応用されるのでは、と個人的には思っている。
半導体製造では大きく遅れてしまった日本であるが、製造装置についてはまだまだ日本が最先端の分野もある。その一部は印刷技術の延長、というのは無知の素人的発想だろうか?
さて、新紙幣発行に関する狂騒。テレビニュース報道ではもとより、会社でも若い番号の新札が欲しい、すぐにでもATMに行きたいと言っている同僚もいる。
そんな自分もすぐにでもATMに行って…とは余り思わない。そう言えば以前は月に最低でも2回くらいはATMで現金を引き出していたな、と懐かしく(?)思う程度。今年度になってからATMで現金を引き出したのは、1回あったかな?
そもそも現金を使わない。現金の入った財布は持ち歩いているが、なかなか減ることは無い。
普段の生活で現金支払いは月に1回の散髪程度。
確かに「大規模な新紙幣発行は今回が最後になりそうだ」と言う論調の報道も多い。
新紙幣は日本で生活してさえすればいつかは自分たちの手にも入る。急いで手に入れる必要も無い。
この際、いつまで新紙幣を見ずに生活が続けられるか試してみるのも悪くない。
大事に仕舞ってある200,000が無くなるまで続けられるか…。あ、ベトナム・ドンです、仕舞ってあるのは。