ベトナムの闇 賄賂と戦争

2024/5/26

前回は若くて活気のあるホーチミンについて書いたが、誰にでも、どこの国でも、良い面もあれば改善が必要な面もある。

以下は今回ホーチミンで出会った人々から聞いた話をまとめたもの。正式な調査ではないので、間違っている部分もあるかも知れない。そのあたりはご容赦を。

ベトナムビジネス上では「under the table」、いわゆる賄賂が横行している。法人登記や各施設の安全点検など政府機関の許認可には賄賂が避けて通れない。現地で事業をしている人曰く、「公務員は給与が低すぎるため賄賂でももらわないとやってられない。公務員の給与が低いのは税収が少ないから」。

現地の週末には日帰りツアーにも参加したのだが、そのツアーガイド曰く、「ベトナムには税金を免除される人がたくさんいる。自分も運転手も税金は払っていない」。
細かな理由は分からなかったが、ベトナム戦争にも関連していると言っていた。

ベトナム人が認識する「ベトナム戦争」は2つの戦争からなっている。一つはベトナムの内戦、もう一つはベトナムとアメリカの戦争。その対アメリカ戦争でアメリカ軍が使用したのが悪名高き「枯葉剤」、猛毒のダイオキシンなどである。枯葉剤使用の目的は、ジャングルの木々を枯らし、そこに隠れているベトナム軍のゲリラ部隊を見つけやすくするため。

その枯葉剤では、生まれてくる子供達に色々な障害が現れた。日本でも有名になったベトちゃん・ドクちゃんなどの結合性双生児(身体の一部が繋がって生まれて来た双子)や顔半分がなくなり片目が見えない子供たちなどいろいろな障害が発生したらしい。現代のベトナムでもそれら障害を持って生まれて来た人やその家族などをサポートするために、色々な施策が取られているらしい。先ほどの免税措置もその一環なのかと思われる。

ほぼ50年前に終わった戦争による負の遺産を今のベトナムも抱えていることになる。

ちなみに枯葉剤を撒いたアメリカは、それに対する補償や謝罪はせずに、今世紀になってから経済協力としてベトナムにいくばくかの資金提供をしたらしい。

平和な日本から見ると、経済発展が凄まじい今のベトナムは順調に発展を続けているように見える。よく聞いてみると、今だに過去の戦争の影が付きまとっているようだ。
これからのベトナムには、これらの負の遺産も乗り越えて、健全な社会にしていって欲しい。

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