炊飯器 日本製品の魅力
2023/2/5
久々に「外国人」と話をした。上海にいた時の中国人の同僚、会話はもちろん…関西弁。
今は自分で立ち上げた商社と買収したメーカーを経営し、新型コロナ前はアジアを飛び回っていたバリバリのビジネスマン。
中国や東南アジア諸国での日本製品の話になった。20年前は、どの国でも家電の多くは日本製が人気だったが、今はほとんど見かけなくなったと言う。
テレビや洗濯機、冷蔵庫、パソコンや携帯電話/スマートフォン。「昔」、20年ほど前、はパナソニックやダイキン、東芝やシャープなどなど。日本ブランドへの憧れ、品質の良さなど、中国製品は肩身の狭い思いをしていた。最近は、ハイアールや美的、格力。スマホでは華為や小米などなど。日本メーカーが手放した事業を買って自社ブランドにした中国メーカーも中にはあるが、いずれにしても中国ブランド。
これら家電で、日本ブランドが無くなるのは時代の流れ。
例えば、アメリカではテレビの製造メーカーは1990年代には消えてしまっている。
アメリカでは代わって、今で言うGAFAのような新興産業が出始めたのも1990年代〜2000年代。Appleだけはもう少し古い。
問題は、日本ではそんなインパクトのある新興企業がなかなか出てこないこと。もちろん、新しい企業はたくさんあり、これからは増えて来ると期待したい。
そんな、中国での日本ブランド信仰が崩れた今、その中国人が欲しいと思う唯一の日本製品は、炊飯器。米食文化の地域、特にジャポニカ米(短粒米)を「炊く」地域では重宝される。ただ、中国でも米を炊いて食べる文化圏は限られる。上海をはじめ長江(揚子江)流域。
中国北方では主に小麦粉ベースの「面」を食べる地域が多い。日本語の漢字で書くと「麺」だと思うが、中国の「面」は「noodle」では無い。どちらかと言うと、小麦粉製品と言うニュアンス。日本で言う「麺」は「面条」、小麦粉で作られることが多いパンは「面包」。その時話しをしていた友人が子供の時に食べていたのは「馒头(饅頭)」。これはいわゆる中華まんのようなもの。色々な種類があるが、中身の入っていないものを白米の代わりに食べることも多い。また、日本の国民食(?)の一つともいえる餃子、北京などでは伝統的には主食であり、美味しい餃子の店が多いが、これも小麦粉の皮が使われる。
そんな「面」を主食とする地域では炊飯器は米食が主の地域と比べると必須では無い。
世界市場を見据える中国企業にとっては、マーケットの限られる炊飯器の製造・販売はそれほど魅力的では無いと思われる。
市場の限られた炊飯器で強みを発揮する日本メーカー。日本企業は、そんなニッチなマーケットが得意なのかもしれない。