諸葛孔明と現代の政治家
2022/8/11
中国の歴史小説・三国志演義。
日本人が三国志を好きなのは、中国人も知っているようだ。
新型コロナ直前に天津出張に行った際、夕食後にレストランを出ると取引先の中国人に呼び止められた。
振り返ってみると店の入り口に関羽像があった。
「おい、これ、誰か知っとるか?」
「ああ、関羽やんけ」
「日本人は三国志演義好きやろ?日本では誰が人気なんや?劉備か?」
「いや、ちゃう、あの軍師の…」
「諸葛亮」
「そう」
と言う会話をした。
念のために書くと、会話は関西弁では無く英語だった、はず。
中国語は分からないふりをしていたので…
不覚にも?最後の「そう」だけは中国語(对/duì)で反応してしまった。
さて、そんな三国志演義。
古本屋で買って読んでいた司馬遼太郎さんの「街道をゆく」シリーズ「中国・蜀の道」に、成都にある劉備や諸葛孔明などを祀った「武侯祠」について書かれている。
四川省の省都・成都には2回立ち寄ったことがある。
1回目は四川省北部にあり、世界遺産にもなっている九寨溝・黄龍に中国現地法人の社員旅行で行った時。
2回目はチベットに行った時の飛行機の乗り換え。
九寨溝・黄龍の帰り、都江堰に行った。
都江堰は始皇帝で有名な秦の時代(紀元前3世紀)に原型が作られたと言う水利施設。「蜀の道」にはここも詳細に書かれている。
成都空港からのフライトまで少し時間があったので、ついでに寄ったのが「武侯祠」。
当時は中国語もあまり分からず、また、三国志演義は読んではいたが、特にその「聖地巡り」にも興味は無かった時期だった。
中国人の同僚たちが行きたいと言っていたので、何の場所かも分からずにマイクロバスで連れられて行った。
着いてみると、三国志演義に登場する「ヒーロー」たちの石像が沢山あったので、そう言うところなんだなと言う程度の認識。
そんなわけで、その「武侯祠」についてはあまり印象に残っておらず、石畳の敷かれた広い公園の所々に蜀の主要メンバーの石像がある、と言った感じだった。
三国で最も弱く短命だった蜀。
その指導者や武将たちが判官贔屓の日本人に人気なのは何となく理解できるが、中国人の間でもやはり人気なようだ。
三国志演義が蜀の目線で書かれていることも大きな理由だろうが、司馬遼太郎さんによると、私利私欲や自己の権威には無頓着だった諸葛亮孔明の存在も大きいとのこと。
改めて現代の中国や世界を見てみると、自己の権威や名声が市民よりも大切だと考えている(と思われる)指導者たちが多い様に感じる。
政治家の評価は後世の歴史で明らかになるのだろうが、たまたま評判の悪い政治家が治める時代に生きることになった市民は不幸である。
昨日組閣された第二次岸田政権、少なくとも日本の政治家たちは市民のことを第一に考えている、と信じたい。