ウトロ 知床
2022/4/29
痛ましい海難事故が起きてしまった。
今回の観光船が出航したオホーツク海に面するウトロ。
太平洋に面する羅臼と並んで、一般人が無理せずに行ける日本最東端。
ウトロと羅臼の間には、知床峠を通る知床横断道路(国道334号)が通っている。
冬の間は通行止めで、開通するのはゴールデンウィーク頃。
テレビで映し出されるウトロ港の岩を見て、学生時代に行ったウトロを思い出した。記憶が正しければはじめての一人旅。
時間のある大学の春休み、3月に行き当たりばったりの旅。
最初の目的地、北見と網走、サロマ湖以外は決めて無かった。
現地でウトロの話しを聞き、旅先で知り合った旅人たちと一緒にウトロに向かった。
鉄道で斜里まで行き、そこからはヒッチハイク。
バスもあったのだとは思うが、ちょうど良い時間の便は無かったのだろう。貧乏学生はタクシーに乗れない。
ウトロではユースホステルに泊まった。
当時のユースホステルは、いろいろなアクティビティを紹介していたが、その一つが知床峠までのスキーツアー。ツアーと言ってもガイドがいるわけでは無く、ノルディックスキーを借り、簡単なコース説明を受けて、宿泊者有志で集まって勝手に峠を登って行く感じだった。
行きはひたすら登り。3月で気温は低かったが、天気は良く、登っていると身体は暑くなって来た。
頂上の知床峠には、キタキツネやカラスがいて、持っていったチョコレートなどを取られないように注意しなければいけなかった。
峠からは、国後島が見え隠れし、紛争中の領土が間近に感じられた。
帰りはひたすら下りだが、ノルディックスキー初心者にとっては、カカトが浮いてしまい慣れるまでは上手く曲がれない。何回も転びながらも無事にユースホステルに帰って来た。
3月中旬、通常は流氷も無い時期だが、その年の網走やサロマ湖辺りの海は氷に覆われていた。ウトロには流氷は無かったが、さすがに海に出る船も無く、ひっそりとした漁村だった。
知床峠よりも東には知床五山と呼ばれる山々が連なる。陸路で行くには本格的なトレッキングとなる。トライした友人がいたが、天候の悪化のためか、全5山には行けなかったと聞いた記憶がある。
陸からのアクセスが難しい知床半島を海から観る。
知床観光の大きな魅力の一つだと思うが、ずさんな会社のために楽しいはずの旅が暗転した方々。
海は陸よりも2か月ほど季節の進みが遅いと一般的には言われる。
4月の海は、陸で言うと2月ごろ。
そんな冷たい海に突如投げ出された乗船客のことを思うと本当に心が痛む。