中国地名の発音 上海
2022/1/13
前回は「海南島」と言うタイトルで記事を書いたが、あえて読み仮名はつけなかった。
「海南」は中国語(普通話)では「hǎi nán」。カタカナだと「ハイナン」が近い。
日本語のメディアでは「カイナン」と呼ばれることが多いように思う。
大都市の「上海」。
こちらは普通話だと「shàng hǎi」、カタカナでは「シャンハイ」。
「海南島」と同じルールに沿うと「シャンカイ」となってもよさそうだが、上海はシャンハイ。もっと言えば「上」を日本語でも「シャン」と呼ぶのも上海以外では思いつかない。
日本でいつから上海をシャンハイと呼んでいるのかは知らないが、上海ではシャンハイを「shàng hǎi」とは言わない。
上海語で上海は、カタカナで書くと「サンヘ」と言う感じ。
上海に住んでいた頃「上海人家」と言う上海料理店があった。
普通話では「シャンハイレンジヤー(Shànghǎi rénjiā)」だが、上海語では「サンヘ ニンカ」。
「人家」は「ニンカ」、上海語の方が日本語に近い。
呉音と呼ばれる発音で、ネットで調べる限り、日本には6世紀ごろ朝鮮半島を経由して伝わったらしい。
呉の国は、春秋時代(紀元前585年頃 – 紀元前473年)と三国時代(222年 – 280年)の2回歴史に表れている。
春秋時代の呉は、「呉越同舟」と言う熟語に名を残している。
三国時代は曹操の魏、劉備の蜀と並んで、孫権の呉が中国を統治していたのは三国演義(三国志)にも書かれている。
大まかに言って上海近郊の長江(揚子江)沿岸を中心とした地域を治めていた呉。
春秋時代は現在の蘇州近辺、三国時代は南京近辺を首都としていたとのこと。どちらも現在の行政区では江蘇省。
その周辺で使われている漢字の読み方が呉音に近いと思われる。
ちなみに「海」は韓国語でも上海語と似た「ヘ(해)」。
釜山(プサン)にある海沿いのリゾート地「ヘウンデ(해운대)」、漢字では「海雲台」。
現代の国際都市・上海、古代からその周辺地域の文化は、日本にも大きな影響を与えたのだろう。