デスバレー(Death Valley)で電気自動車

2021/7/12

熱海市伊豆山の土石流や島根県、鹿児島県の大雨など日本では連日大雨や土砂災害のニュースが流れているが、北米では寒い方で有名なカナダで50℃近くまで気温が上昇するなど、こちらも異常気象がニュースになっている。
そんな中、アメリカ・カリフォルニア州のデスバレーで観測史上2番目に高い54.4℃を記録、と言う記事もあった。

カリフォルニア州と言えば、自動車の排ガス規制が最も厳しい地域の一つで、電気自動車メーカー「テスラ」も本社を置く州。

気温が50℃を超える場所で、電気自動車を運転するとどうなるか、と言うのが気になった。
リチウムイオンバッテリーは、ガソリン車などに搭載されている鉛バッテリーよりも使用環境要件が厳しい。
一般的なリチウムイオンバッテリーの使用温度範囲(放電)は、60℃程度。その温度を超えるとすぐに危険か、と言うと当然安全余裕はあるが、それでも80℃程度が限界。気温が50℃だと、放電時の使用温度範囲内には入っているが、充電時の温度範囲(45℃程度)よりは高い温度。

また、気温が50℃でも、バッテリー温度が50℃とは限らない。直射日光のあたる炎天下では、自動車の温度はもっと高くなる。バッテリー温度が使用温度範囲を超え、安全限界に近い温度になることもあるかも知れない。そうなると、車が動かないと言うこともあり得る。

充電は、自宅や充電ステーションでの充電だけを考えがちだが、自動車の減速時やブレーキング時にも充電される(回生エネルギー)。テスラやその他電気自動車の詳しい仕組みは知らないが、バッテリー温度が高い時は回生エネルギーをリチウムイオンバッテリーに充電しない仕組みが組み込まれているのでは、と想像する。
回生エネルギーが充電できないと「電池の減り」が早くなる。
増してや50℃を超えるところで運転する場合は、エアコンも最強にして車室内を冷やすだろうから、電池の減りが早い。途中で「電欠」になっても、先ほどの使用温度範囲を考えると、50℃の場所では充電もできない。

ガソリンやディーゼルなど内燃機関の自動車では、少々気温が高くても大丈夫だが、環境温度に厳しいのが電気自動車。50℃を超える場所ではまさに命の危険にさらされることになる。

暑さだけではない。
昨年(2020年)12月には大雪により、関越自動車道で立ち往生が発生した。この時も、電気自動車のヒーター効率の悪さが議論になった。エンジン車は排ガスの熱で車内を暖めることができるが、電気自動車では純粋に電気でヒーターを暖めるしかない。動かなくても、電池の消耗は早いことは容易に想像できる。その時のバッテリーの充電状態にも拠るが、8時間や12時間の立ち往生で自動車が動かなくなる可能性もある。

世界中でガソリン/ディーゼル車を廃止して、環境にやさしいエネルギーを用いた自動車(電気や水素)に変えようと言う動きが強まっているが、高温・低温時などの安全性は確保されるのだろうか?

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