新型コロナ病棟

2021/6/30

保健所で手配してもらった病院の救急搬送口に着くと、白いカバーを被せた車椅子が用意されていた。
専用の通路を通って、病室まで歩いて行くものだと思っていたので、物々しい対策に改めて新型コロナは大変な感染症なのだ、と思った。
手荷物を持って車椅子に座り、ファスナーを閉められ密閉空間に。そして減圧。新型コロナ汚染された空気が外に漏れないようになっている。
「閉所恐怖症は無いですか?」と尋ねられたが「たぶん大丈夫です」としか答えようが無い。
前方に開いた透明な小窓から前は少し見えるが、左右は見えない。
カバーの外側は病棟に入る時に消毒。どこを通っているかは全く分からないが、エレベーターに乗ったのは分かった。そして検査室へ。
車椅子を降りて、肺のX線とCT画像の撮影。看護師、検査技師の皆さんは重装備、フェイスシールドにマスク、帽子、手袋。
CTが終わると再びカバー付き車椅子に乗る。そこで、再びカバー外側の消毒を終えたのち廊下へ、そこから入院する部屋へ移動。

部屋は二重扉で「外界」と隔離されている。部屋に着いてやっと自由に動けるようになった。割と広い個室だが、外に出るのは禁止。窓開けも禁止。入院前に別の病院でもらった解熱剤などの薬は没収され、必要に応じて薬は処方されることになった。
看護師からの入院生活の説明や体調確認。血中酸素飽和度は正常。その後、医師の問診。CT画像では軽い肺炎の影があり、まずは、安静にして経過観察。発症後10日以降、かつ、症状が無くなり72時間で退院できると説明があった。
医師は新型コロナ陽性者との接触を最低限に抑えるため、普段の診察は無い。
看護師による血圧測定や聴診以外に、1日3回の体調観察は基本的に自分で行い配られた紙に記入。

基本的に軽症〜中等症患者用の病棟なので、個室にいる限りは緊迫感は感じられないが、個室に入って来る医師・看護師は常に重装備。長時間の勤務は辛いだろうと想像できる。食事は、使い捨て容器に入れられたご飯、汁物とおかず。「味と匂いは分かるか」と毎回確認される。

運動不足が心配であれば、簡単な自重筋トレやストレッチ程度はできるくらいの十分な部屋の広さだが、解熱剤が無いと体温は38℃~39℃まで上がるので、動く気にはなれない。やはり病人だと実感。
積極的な治療が必要な程症状が重いわけでもなく、何かあった時のために備えて入院と言う感じ。自分の体力と免疫力で快復するしかない。

10日後の退院時は、荷物を普通に持って徒歩で退院。二重扉を出ると目の前がナースステーション。静寂に満ちた日曜日の病院内を歩き、X線とCTの撮影。まだ病例が少ないため今後の研究のため、とのこと。
入院時には全く分からなかった通路を通り、無事屋外へ。

個室に閉じ込められ、不自由な生活を強いられた10日間。皆さんは感染しないようお気をつけください。

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