黄砂とモンゴル
北京でこの10年で最悪の黄砂が襲来、と言うのがニュースになった。
北京に住んでいた約16〜17年前は基本的に青空は見えず、毎日どんよりとした霞がかった日々だった記憶があるが、時々黄砂が飛んで来た。大抵は日本でも時々あるような砂混じりの風程度だったが、一度だけひどい黄砂に遭ったことがある。
遠くの空が黒くなって来たと思ったら、10分ほどで視界が消えた。屋外にはいたが、住んでいた近くだったので「黄砂だ」と言う周りの人達の声を聞いて部屋に帰ったので大丈夫だったが、街が消えたのかと思うような光景だった。
黄砂は北京から見ると北や西の砂漠地帯・乾燥地帯の砂が風で舞い上がり飛んでくる現象だが、年々ひどくなっていると言う。北京から直線距離で500kmも行けばこれらの乾燥地帯になる。北京自体もそれ程雨の降る場所では無く、乾燥しているが。
内モンゴル(内蒙古自治区)の草原が砂漠化しているのも黄砂がひどくなっている原因と言われている。モンゴル人の生活は、草原で移動式のテント(ゲル、中国語では“包”=bao)に住み、羊の放牧を生業とする、と言うのが伝統的な暮らしだった。中国政府はそんなモンゴル人を定住させようと、草原を無理に農地に変えようとしたのが失敗したとの説もある。草原地帯の表土は薄く、無理に耕すと乾燥してしまい、草も生えない砂漠になると言う。
中国では新疆ウイグル自治区やチベットの民族迫害が続いているニュースは多い。モンゴル人が迫害されていると言う話しは最近はあまり伝わってこないが、遊牧民の定住化は立派なモンゴル文化破壊かも知れない。