2011年3月11日 午後2時46分
東京・山手線のとある駅の構内のカフェのカウンターに座り、コーヒーとサンドウィッチの遅い昼食を摂っていた。隣のおじさんが「揺れてますね」。言われてみると確かに揺れている、と思ったのも束の間、揺れが益々大きくなり、カップからコーヒーが溢れ出した。慌ててコーヒーを少し飲み、カップを持ち、サンドウィッチの乗っているトレイが落ちないようにを抑えた。
揺れが収まるとカフェの店員が大丈夫ですよ、と言いながら、コーヒーを注ぎ足しに来てくれた。日本ではコーヒーのおかわりは大抵有料なので異例のサービス。
落ち着く間も無く、大きな余震。店を出て駅構内のテレビを見に行くと、震源は東京から遠く離れた東北地方。まだ震源や震度情報程度。東京でこの揺れだと東北地方は相当ひどいだろうな、と思ったが、駅の天井が波打っている。JRも運転見合わせだったのでカバンで頭を覆い、再び先程のカフェへ。しばらく落ち着くのを待っていたが、結局JR運転再開の見通しは立たず、カフェも営業取り止め。
申し訳ありません、とテイクアウト用のカップにコーヒーを淹れて持たせてくれた。散々、コーヒーを飲んだ後だったので、もう要らなかったが、取り敢えずありがたく頂き店を出て、改札の外へ。携帯電話も通じず会社まで歩くことにした。駅で数えると4駅、距離は5km少し。
まず最初にしたのは、ペットボトルの水とカロリーメイト、それにホッカイロの調達。近くのコンビニには、それ程客も入っていなく、棚には十分な飲食料などが並んでいた。それから一路事務所まで国道を歩いた。国道の中央分離帯には、近くの事務所で働いている人達だろう、ヘルメットを被って不安そうにしている人達が避難して来ていた。ビルのガラスが落ちて来た時に備えた避難。歩道を歩きながら少し上を見たが、ガラスその他の落下物は取り敢えず無さそうだったので、そのまま歩道を歩く。途中、駅を通る毎にJRの情報を確認したが、一向に運転再開の兆しは無い。携帯電話は通じずどこにも連絡できないまま歩くこと約1時間半、無事に事務所に帰り着き、そこで初めて津波のニュース映像を見た。