電気自動車の充電
昨日に続いて電気の話し。今日は電気自動車、EV(Electric Vehicle)。
政府は世界の潮流から遅れまいと、自動車の2050年温室効果ガス排出ゼロを目指すと昨年発表した。温室効果ガス(主に二酸化炭素)排出ゼロの自動車は、電気自動車だけとは限らないが、昨今の報道を見ているとやはり電気自動車が主流。
電気自動車は1873年にイギリスで実用的な車が製作されている。市販されたのは、最初のガソリンエンジン車が販売される1891年より前。当時の電池は鉛バッテリーで、航続距離が短く、本格的なガソリン車が出てきた時点で衰退してしまった。
つまり、電池さえ高性能なものがあれば、電気自動車の方が技術的なハードルが低いと考えられる。電気自動車を巡っては、世界中で次世代バッテリー開発競争が過熱しているのも頷ける。
電気自動車は電気を使ってモーターを回転させて自動車を走らせる。その電気をどうするかが問題。自動車に載せたバッテリーに充電するのが今の流れだが、どうやってその電気を作るのだろう?
この大寒波で電力需給は逼迫しているが、そこには電気自動車へ充電する電力はほとんど含まれていない。今、日本中を走っているガソリン車・ディーゼル車の大部分が電気自動車に置き換わると、到底充電するのに十分な電力があるとは思えない。一般的には、電力需要が増えるのは昼間、個人の電気自動車を充電するのは夜間なのでピーク電力(設備容量)としては足りるかも知れないが、安心はできない。
ガソリンや軽油で走る自動車の単位燃料当たりの走行距離を示す指標として燃費があるが、電気自動車の場合は電費。
日産のホームページを見ると、電気自動車の電費は、6㎞/kWhという数値が基準らしい。ガソリン車で言うと例えば10km/Lと言う感じだろうか?
一般家庭の消費電力量の平均は約250kWh/月(東京電力ホームページより)、つまり8~9kWh/日程度。
これは、6㎞/kWh走る電気自動車だと約50kmの走行距離に匹敵する。
50km÷6km/kWh=8.3kWh
つまり、乗用車で一日50km走る人は、家庭の電力使用量が2倍になると言うことである。
ところで、発電と言えば少し前までは原子力や火力、水力など大規模な発電所で大量に発電して、各事業所・家庭に送電するのが一般的だった。最近は、家庭などでのソーラー発電も増え、消費地に近い所で小規模に発電すると言う流れもでき始めている。
ソーラーパネルほど普及しているようには見えないが、小型の風力発電やマイクロ水力発電と言うものもある。
電気を長距離送ると送電損失と言うものがあり、消費地の近くで発電する分散型電源の方が確かに効率は良いのだろうと思う。
ソーラーパネルその他の発電機器を作り、運ぶことが効率よいのか、と言う別の問題ももちろん生じるが。
ところで、昨日の「電気を蓄める(→こちら)」、電気自動車があればそのバッテリーに余った電力を蓄め、停電や電力需給が逼迫した時に使える、と言う蓄電設備としてのメリットはある。これについては、色々な企業がスマートシティーなどと呼んで研究・実証実験を進めている。
我が家に電気自動車がやってくるのは何年後かわからないが、自宅(または隣近所)で化石燃料を使わない発電ができるようになっていた方が良さそう。