床の下、屋根の上

自分の家の地下に大きな道路トンネルが掘られているとやはり怖い。
東京・調布市で住宅街の道路が陥没した事故で、東日本高速(NEXCO東日本)が東京外郭環状道路(外環道)工事と陥没の因果関係を認めた。報道によると、地下47mのところに直径16mのトンネルを掘っていたと言うことだ。

大深度法と言う法律で、地下深くの工事などはその上の土地所有者の許可なく公共使用ができると言うことになっている。
大深度の基準は、
・地下40m以深
・基礎杭の支持地盤上面から10m以深
のいずれか深い方と言うことだ。

地下はどこまで行っても地上に土地を持っている人の権利が及ぶ、と言うのは当然不自然。どこまでも認めるのであれば、地球の反対側にいる人と土地争いが生じてしまう。ある程度の基準は必要だとは思う。

大深度法について詳細は調べていないが、同じ深さ、例えば地下40mのところでも、直径50cmの穴を掘られるのと、今回のように直径16mの大トンネルを掘られるのでは意味が大きく違う。
当然、地質、例えば、強固な岩盤と水分を多く含んだ地質、は全く違う。
この辺りは専門家の方々が事前に調査はされているのだと思うが、その調査の妥当性が問われるところ。

JR東海が進めているリニア新幹線の工事も静岡県内で中断しているが、こちらも大深度。大井川の水源に多大な影響がある可能性がある。

日本の土木技術は恐らく世界でもトップクラス。トンネルや橋梁、ダムなど困難な工事を数々と行って来た。これらの技術は、工事を続けないと技術の維持や革新ができない。

若い頃に、トンネル掘削用のシールドマシンの”刃”(ビット)を売っていた人の話しによると、トンネル・プロジェクトはこのビット・ビジネスには多大な貢献をする。今回(外環道やリニア新幹線)のような大規模プロジェクトだと、ビットやその他ビジネス的に大きな貢献をする素材が沢山ある。

住民や環境の保護と言うテーマに真摯に向き合ってはいると信じたいが、方向性としては工事を進めると言う大前提はあるのだろう。外環道もリニア新幹線も多大なメリットがある工事だとは思うが、少なくとも最初から工事ありき、で各種調査等を、おざなりで済ましてしまうことだけは無いようにしてもらいたい。

ちなみに、土地の上空に対する所有権(空中権)については、高さに関する明確な規定は無い。
景観、その土地の区分(住宅地域、工業地域、農地など)によって違うらしい。確かに、上空を飛ぶ飛行機や人工衛星が全ての土地の地権者の許可を得るのは現実的で無い。

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