アルミと鉄 日本の常識

11月中旬の今となっては忘れてしまっているが、今年の夏は、今年の夏も、暑かった。
夏に読んだ記事に「日本の一般家庭の家は諸外国より暑すぎる?アルミサッシが原因か」と言うのがあった。何となく頭の片隅には残ったが、その時は”ふ~ん”と思った程度だった。

先日ベトナムの治安の話しをした時、シャッターの材質の話題になった。日本のシャッターはアルミ製が主流。軽くて一人での開け閉めもそれほど苦では無い。一方、ベトナムでは鉄製シャッターが普通だと言う。一人で開け閉めするには重く、一般的に電動だそうだ。
どちらが優れているか?
日本の感覚では軽いアルミ製が優れているが、アルミ製には大きな欠点がある。鉄に比べて弱い、強度が足りない。日本ほど治安が良くない国では、シャッターの防犯対策と言う意味合いが大きい。軟なアルミでは簡単に破られる可能性がある、鉄製の方が優れていることになる。

住宅の窓に使われるサッシ、日本ではほとんどがアルミサッシ。軽くて丈夫。ガラス窓をはめ込むサッシでは、一般的なガラスと比べるとアルミは十分強いと言えそうなので、アルミサッシの欠点は無いように思える。
中国に住んでいた時は高層アパートのサッシは鉄製。重く開け閉めが大変だった。
日本から来られたアルミの専門家の人が言っていた。アルミの塗装は鉄ほど簡単では無い。単に当時の中国にはアルミ塗装技術が無いので仕方なく鉄製のサッシが使われているのだと思い込んでいた。

そこで冒頭に紹介した記事。
アルミは熱伝導性が高い。
アルミニウム 236 W/m·K(ワット毎メートル毎ケルビン)
鉄 83.5
ガラス 0.55~0.75

数字の意味は詳しく書かないが、アルミは鉄の約3倍熱を伝えやすい。ガラスはほとんど熱を伝えない。

アルミサッシと鉄サッシを比べると、ガラスは熱を伝えにくい(※)ので断熱・遮熱性能はサッシの材質に左右される。
軽くて丈夫なアルミサッシが優れていると勝手に思っていたが、どうもこれは日本人の思い込み。断熱性能を高め、冷暖房費を節約できる省エネ住宅と言う観点からは鉄や樹脂製のサッシが優れていることになる。

もちろん断熱性能だけですべてを判断するのは片手落ちだとは思うが、日本のモノが優れている、と言う思い込みは時々疑ってみるのが良い。

※ いくらガラスの熱伝導率が小さいと言っても、窓ガラスは薄いので、一般的な単層ガラスだと充分な断熱効果は期待できない。

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