生活道路の排水対策
台風10号(Haishen)が九州を中心に西日本に大変な被害をもたらした。
当初は本土に近づく台風では観測史上最強の台風になるのでは、とも言われた。数値的には第2室戸台風(1961年)や伊勢湾台風(1959年)には及ばなかったようであるが、大雨や強風の被害による家屋の倒壊や土砂崩れなど報道されている。
今回のような大雨では、河川の堤防やダムなど大規模な治水対策の成否が被害の大きさに直結するが、身近なところでもちょっとした雨対策は施されている。
水勾配と呼ばれる道路の傾き。高速道路や国道、幹線道路はもちろん、住宅地の路地でも勾配の付いている道がほとんど。
多くの道路には側溝があり、道路に降った雨水はその溝に向かって流れて行くように勾配がつけられている。中には、道路の中央部に溝がある場合もあるが、その場合は中央部が低くなっている。溝が無くても、道路端に雨水を流すような構造になっている道が多く、ほどんどの道は傾いている。
自動車で走る時はあまり気にならないかも知れないが、ベビーカーやシニアカー・車いすで通る時はこの傾きは侮れない。徒歩やランニングで通る時も意外と気になるもの。徒歩やランニングで同じ道路を同じ方向に向かって通ってばかりいると、姿勢が傾いてしまう。
特にランニングやジョギングではフォームが崩れ怪我につながる可能性もある。道路の真中は傾きが少ないので、そこを通れば姿勢の傾きは防げるが、普段は自動車が走っているのでやはり道路の真中は走れない。そうすると同じ道を往きと帰りで通ることで、身体の傾きが左右どちらか一方に偏らないようにできる。
雨の少ないアメリカ・ロサンジェルスや中国・北京には水勾配の無い道路も多い。滅多に降らない雨のために、コストを掛けて排水対策を行うよりも他のモノにお金を使った方が良い。
年間降水量を比較してみると、東京1800mm程度。
対して、ロサンジェルスは500mm弱、北京は600mm程度と東京の3分の1程度。
道路の排水が効率的にできなくても良いのかも知れない。
ロサンジェルスも北京も一旦雨が降ると、ミニ洪水のような状況になる。
車社会のロサンジェルスでは、ブレーキを掛けて止まるまでの制動距離が長くなることを意識していないなど、雨の中での運転に慣れていない人も多く事故が増えるとも言う。
歩行者やランナーなどにとっては道路の傾きは少し不便ではあるが、雨の多い日本では、頻繁に道路が大きな水溜まりになるよりは、しっかり排水できた方が良い。