世界的には短い「長期政権」安倍首相の辞任
安倍晋三首相が辞任することになった。日本の首相としては最長の約7年8ヶ月の”長期”政権だった。
基本的に日本の首相在任期間は短い。
戦後75年、その間の首相の数はのべ36人、つまり、平均の在任期間は2年と少し。
平均、と言うことはもっと短い首相も沢山いる。
最短は、戦後の混乱期の 東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみや なるひこ)氏の54日、歴代2位は平成になってからの羽田孜(はだ つとむ)氏の64日。いずれも2ヶ月前後。
首相は政治的には日本の顔でもある。政権が長ければ良いと言うものでも無いが、そんな顔が2ヶ月程度でころころ変わるようでは、外国から覚えてもらえないし、信頼してももらえない。日本人でも覚えられないが。
そう言う意味では安倍首相の7年8ヶ月は、少なくとも外国から顔と名前を覚えてもらえる程度には長かった。
ただ、この7年8ヶ月、例えばアメリカ合衆国大統領の2期8年に比べるとまだ短い。
大統領と首相という政治体制の違いなのかも知れないが、G7の7ヶ国の内、日本と同じような議院内閣制の国は、アメリカとフランスを除く5ヶ国。それぞれの最長期政権(第二次世界大戦後)を調べてみるとドイツが長い。
ドイツ :コール 16年9ヶ月 (現役のメルケル首相も14年9ヶ月)
イギリス:サッチャー 11年6ヶ月
カナダ :トルドー 11年1ヶ月
イタリア:ガスペリ 7年8ヶ月
日本と同じく短命政権の多いイタリアを除くと、いずれも安倍首相よりも長い。長期政権を担った首相と言うのは、やはり国際的にも名の通った人ばかりだ。
ヨーロッパにはもっと長く政権を担当している大統領もいる。最近のニュースでも騒がれているが、26年に渡りその職にあるベラルーシのルカシェンコ大統領。
在職年数だでけでは、日本も負けてはいない。
江戸幕府第11代征夷大将軍・徳川家斉(いえなり)。10代将軍家治の病死後15歳で将軍になり、50年間の長期に渡り将軍であった。
そんな長期政権。江戸幕府は形式的には世襲制の独裁・軍事政権。ベラルーシも形式的には選挙で選ばれる大統領だとは言え、独裁政権の様相を呈している。
政治のリーダーが主権者である国民の手から離れてはいけないが、民主的な国家として、今後も長期政権を担えるような人に国のかじ取りをお願いしたいものだ。