iPhoneと日本人 製品の小型化

取引先の会社が東南アジアに工場進出を計画している。新型コロナの影響で計画に大幅な狂いが生じているが、工業団地探しを少しずつ始めた。
敷地・建屋面積は、必要となる製造設備や倉庫、事務所などを想定して計画していたが、企業の海外進出をサポートしているアドバイザーに”日本と同じ感覚で計画しても配置できない”と忠告された。
日本人は、国土が狭いこともあってか、設備配置や動線などを綿密に考え、狭い場所効率よく配置するが、同じことを海外で期待してはいけない、と。

アメリカのメーカーが世界のマーケット・リーダーだったある製品、世界中の競合メーカーがその形状を真似していた。
各社、日本市場にも進出しようとしていたが、成功はしなかった。
日本の競合メーカーだけは独自形状の品物を製品化した。アメリカ企業の作ったデファクト・スタンダード品に比べると同様の機能・性能でもコンパクトにできている。日本ではそれなりに売れたようだが、海外ではトップメーカーと形状が異なり互換性が無いので人気はでなかったようだ。

アメリカ自動車メーカーが日本市場での販売を断念して久しい。昨年(2019年)のアメリカ車の日本への輸入台数は15000台強。同じ期間の輸入車の総数は30万台弱、アメリカ車はたった5%。
以前は、アメリカも日本市場は閉鎖的だ、非関税障壁を無くせ、などと言っていたが最近はあきらめたのか、中国市場の方が魅力的なのか、そう言った日本批判は聞かれないように思う。
日本の狭い道では、小型化に消極的なアメリカ車を運転するのは難しい。

自動車は、日本市場では失敗しているが、大成功しているアメリカ製品もある。
アップル社iPhone
製造はアメリカでは無いので、厳密に言えばアメリカ製品では無いかも知れないが、現代のアメリカを代表する企業の製品。
スティーブ・ジョブズがipodを水の中に放り込み、空気の泡が出ているのを技術者に見せ、”もっと小さくできるだろ”と叱責したと言う逸話は有名。作り話かも知れないが、小型化にこだわったのは確か。
スティーブ・ジョブズは禅にも陶酔し、日本文化にも精通していたようであるが、日本人が求める小型化を追求したことが日本市場でも成功した一因ではある。
もちろん、小型化以外に重要な要因はもっとたくさんあるとは思うが。

日本は外国企業にとってはハードルの高い市場かも知れ無いが、ハマれば大ヒットするだけの市場規模はある。
日本としても、日本だけ違うことをガラパゴスなどと揶揄され、さらには自己否定まですることも多い。

他と違う、“尖がっている”ことには良いこともある。時々は、優越感に浸り、日本式(の良いところ)は他にも広めるのもあり、かも知れない。

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