最上川とエヤワディ川、タイの洪水

「五月雨を集めて早し最上川」 松尾芭蕉

元々は「五月雨を集めて涼し最上川」だったが、芭蕉が今の山形県大石田に滞在中に最上川の急流を目の当たりにし、改作したのだとか。

山形県・大石田、最上川が決壊して洪水が起きていると言うのがニュースになっている。
今月初めの熊本県の球磨川での豪雨による洪水に続いての河川氾濫。

マンダレーのエヤワディ川(2019年11月)

海外でも、ミャンマーの古都・マンダレーエヤワディ川の堤防が決壊し、浸水被害が起きたと言うニュースが流れていた。中国企業が開発中の水処理施設の工事現場から川の水が侵入した、とのことだ。

東南アジアの洪水と言うと、2011年タイで発生した大洪水
日系企業の工場も被害を被った所が少なくない。

タイの洪水は、チャオプラヤー川メコン川流域。チャオプラヤー川はかつてはメナム川と呼ばれいたが、いずれにしてもタイを流れる大河。
2011年の洪水は、7月末の台風ノックテンの大雨から始まったと言う。それから1ヶ月半程度でバンコク近郊でも洪水の影響を受け、その後の台風により洪水被害が拡大し、洪水の終息が宣言されたのは12月23日だと言う。

バンコクには自動車関連工場も多く、何10トンもある重い金型を避難させるための大型クレーンやトラックなどの取り合いになったらしい。当然、全ての工場が金型や生産設備などを避難させることができたわけでは無く、世界のサプライチェーンに甚大な影響を与えた。
当時の報道を記憶から呼び起こしてみると、“あと1週間くらいでこの辺りも洪水になる”と言うような、日本の基準で考えると何とも悠長な論調だった。実際、川が越水しても足首当たりの水位だと普通に生活している人たちの写真や動画が流れていた。

翻って直近の日本の河川氾濫。大雨が降ってから堤防決壊や越水までほんの数時間、特に九州では逃げる間もなく人的被害が拡大したところも多い。最上川の洪水に関するニュースでは、雨がやんでから6時間後という“時間差”が強調されていたが、タイの洪水に比べると雨が降ってすぐに洪水、と言える。

奇しくも球磨川と最上川は、日本三急流の内の2つ(もう一つは静岡県に注ぐ富士川)。河川の長さを比べてみると
球磨川 115km
最上川 229km
富士川 128km

一方、東南アジアの河川の長さは
メコン川 4023km
エーヤワディ川 2210km
チャオプラヤー川・ピン川 941km(チャオプラヤー川 372km+上流のピン川 569km)

河川の長さは1桁違う。長くなるほど上流で降った雨が下流まで流れて来るまでに時間差があるのは当然。数日〜数週間の時間差があり、洪水が予測できても対策が打てないと言うのも流量が多く、スケールが大きいと言うことになる。

1年前の6月末に山形出張に行った時、仕事の話が終わった後、先方の人から「今はスイカが美味しいですよ」と勧められた。さすがに、スイカを担いで帰ってくることはしなかったが、スイカ畑が水浸しになっているニュース映像を見ると心が痛む。
あきらめないで復旧して、再びおいしい果物を作って欲しい。

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