「シナーラ」 木造帆船
昨日は海の日。
神奈川県三浦半島の西側に広がる相模湾。油壷や佐島、葉山、逗子、江の島などヨットハーバー、マリーナと呼ばれる”舟遊び”の拠点がたくさんある。
相模湾で活動するセーラーの憧れのヨットに「シナーラ(Cynara)」という木造船がある。
最近見かけないな、と思っていたら陸に上げて修復作業中とテレビで紹介されていた。
1927年に英国で建造され、搬送する姿の美しさから海の貴婦人と呼ばれているシナーラは、間もなく船齢100年、世界的にも稀なヴィンテージヨット(シナーラを所有するリビエラグループのホームページによる)。
多くのヨットは工場で生産されていて、最近の船体はFRP(繊維強化プラスチック)素材が多い。ちょっとした傷や穴であれば、修復はグラスウール・シートを貼って表面仕上げをする程度。住宅のクロスの壁に穴が開いた時などに修復するのと同じような感じ。
以前、会社が所有していた30フィートのクルーザーは船体は基本的にFRPだったが、舷側の一部が木製だった。
劣化が進み、その部分を交換する段になって、どうするかと言う話になった。交換部品と言うのは売っていない。
ホームセンターなどで材木を買って来て作る、と言うのは素人には無理。船は直線を組み合わせた真四角では無く、曲線でできている。
当時、そのヨットを置いていたマリーナに相談すると宮大工(みやだいく)を紹介してくれた。普通の住宅はほとんどが直線状の構造物でできているが、木造の神社は曲線状の構造物が多く使われていて、木造船とも共通するところがある。紹介された宮大工に修復をお願いしに行く時、マリーナの人には「職人気質の親方なので気分を害さないように丁寧にお願いしろ」と脅された(注意された)が口数は少ないが普通の職人さんで快く(?)引き受けてもらった。
2年ほど前だったか、江の島ヨットハーバーで小型の中古クルーザーが売りに出ていた。
外から見ると普通のFRP船で、金額的にも少し頑張れば手の届く範囲だったので、デッキを見せてもらった。外から見るイメージとは全く違って、デッキとキャビン内はほぼ木製。我々には立派過ぎる船だった。所有するには敷居が高すぎるので、買うのはあきらめた。キャビン内はともかく、木造デッキのメンテナンスには自信が持てなかった。
“令和の大改修”中のシナーラ、来年にはその美しい姿を海上でみることができるだろう。