土に埋める 水に流す 2011/7/23

2011年の今日、7月23日、どんな事件があったか覚えているだろうか?
と、こんな質問をいきなり受けても普通の人は答えられないが、勘の良い人はこの記事のタイトル「土に埋める」で気付く人もいるかも知れない。

9年前の今日、中国・温州市高速鉄道が追突、脱線すると言う事故があった。高架を走っていた列車の一部が脱線して地上に落下したが、救助活動や原因究明もしっかりとしないうちに車両を埋めた、と言うことが大きなニュースになった。

ネットでニュースを見ていて、似たような事故の記事を見つけた。もちろん同じ中国。

広州市の地下鉄工事現場で起きた。ニュース記事(→こちら)の概要は次の通り。
“昨年2019年12月地下鉄工事中の交差点が突然38mの深さまで陥没した。通りかかった清掃車1両と電動自転車1台が土砂に呑まれ、計3人が生き埋めになった。大きく開いた穴を早急に埋め戻す為、事故の6時間後にはコンクリートが注入された。”
もちろん、生き埋めになった方々の捜索は“大事な穴埋め”の前には優先度が低い。

温州の高速鉄道が特殊な例ではなく、土に埋めるのは、中国では当たり前の出来事なのかも知れない。

炭鉱など岩盤崩落により救出手段が無く、やむ無く生き埋めになると言う事故は日本でもかつてはあったが、事故現場の早期復旧、増してや事故原因追及の責任逃れのために埋めてしまうと言うのは言語道断、文明社会が行うことでは無い。

南京・燕子磯から見た平時の揚子江

日本では土に埋めることはあまり無いが“水に流す”ことは良くある。「過去のいざこざなどを、すべてなかったことにする」と言う意味。

ところで、日本では令和2年7月豪雨で多くの方が被災されているが、中国でも大雨が降り続き、特に長江(揚子江)流域は観測史上最悪の事態になっている。世界最大の水力発電ダムである三峡ダムも警戒水位を超え、ダムの貯水量を減らす為に放流が実施された。
当然、下流域には大量の水が流れ込んでいる。
洪水の影響を受けた人は2400万人、死者・行方不明者は140人を超えていると報道されている。大雨が降り続いているが行方不明を含めた犠牲者の数はそれほど変わっていない。水害・洪水に対する人民の避難誘導が迅速に行われているに違いない。

まさか、人々を水に流して無かったことにしてしまう、と言うことは無いだろう…。

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