ボヘミアンラプソディと冷戦
イギリスの伝説的ロックバンドQueenとそのリードボーカルFreddie Mercuryのバイオグラフィー、映画「ボヘミアンラプソディ(Bohemian Rhapsody)」、2018年秋に公開され日本でも大ヒットした。
日本でもと書いたが、日本の興行収益はアメリカに次いで第2位、1億1,465万ドル以上。韓国、イギリスと続いているようだ。
「ボヘミアンラプソディ」の主人公フレディ・マーキュリーが活躍したのは、Queenがデビューした1973年からフレディが亡くなる1991年まで。
1973年はアメリカ陣営とソビエト連邦陣営を中心とした東西冷戦の真っ只中。
中国で天安門事件が起き、ドイツでベルリンの壁が崩壊し東西冷戦が終結したのが1989年。
「ボヘミアンラプソディ」に描かれる殆んどの時代は東西冷戦中。中国も西側(資本主義諸国)の文化には触れていない時代。
北京で暮らしていた時は色々な国の人と話す機会があった。
西欧はもちろん、インドネシアやタイ、韓国など旧西側諸国の人とはハリウッド映画やQueenやThe Beetlesなど英米音楽の話をすれば多少なりとも話しは通じたが、旧東側諸国の人たち、中国、ロシア、ルーマニアなどの人にはそれらの話題は通じなかった(そんな国々の人ともオリンピック選手などスポーツの話題は有効)。
冷戦期は、モノや技術、人の行き来はもちろん、相互の文化交流も少なかったと言うことになる。
現在の中国。GoogleやFacebook、Line、Twitter、You Tubeなど”西側諸国”のSNSが使えないことはご存じの方が多いだろう。代わりに中国独自の百度(Baidu)、微信(WeChat)、抖音(TikTok)などが普及している。
最近、世界最大の民主主義国家インドが、これら中国製SNSの使用を禁止した(→ニュース)。
メッセージのやり取りは、少し前はEメールが主流だったかも知れないが、今は各種のSNSだと思う。国によって、または、”陣営”によって使えるSNSが制限されると、それを超えた情報交換が不便になる。不便になると当然お互いを行き来する情報量も少なくなり、文化交流も減るかも知れない。
米中を中心として世界が分断される懸念がある中、映画や文学、アニメなど互いの文化交流ができれば、それほど深刻な事態にはならないだろうな、とは思っていた。日本を嫌いな中国でもドラゴンボールや名探偵コナン、ワンピースなど日本のアニメ好きは多い。
文化交流が減ると世界が本当に分断されてしまうかも知れない。
再び映画やアニメ、音楽が共通の話題で無くなる日が来るのだろうか?