デモと言論弾圧
アメリカのデモが1968年以来と言う大規模な暴動になって来た。略奪・破壊など非合法行為も各地で発生し、夜間外出禁止令が出されている地域も多数ある。
1968年はキング牧師暗殺に伴うデモ・暴動。
「アメリカ 新型コロナ禍と治安(→こちら)」でも書いたが、景気が悪くなり失業者が増えると治安が悪くなる。今回の暴動の直接のきっかけは、黒人市民に対する白人警官の暴行・致死だが、新型コロナの間接的な影響は大いに考えられる。
アメリカでは毎年のように白人警官による黒人市民への暴行事件があるように、依然として人種差別は無くならないようだ。被差別の対象は、黒人だけでは無くアジア系、ヒスパニックと幅広い。
仕事で良く行くカリフォルニア州では、白人人口比率が少ないためか、差別を感じることはほぼ無いが、単なる旅行者だからかも知れない。
それでもレストランやスーパーマーケットなどでは、ヒスパニックの方が優しい感じがすることも度々ある。単にラテン系は陽気、と言うこともあるだろうが、肌の色が同じような日本人に親近感を持っているのかも知れない。
人種差別と言う根深い闇を抱えるアメリカではあるが、平等を求める市民は多く、多様な人種が共存する社会ではお互いを認めあっている(はず)。また、政権を含めて社会の不満に対する批判やデモなどの行為は当然のように認められている。
さて、新しい冷戦の兆しが見え隠れする昨今、もう一方の国、中国では反日や反米のデモは許されても自国の政権批判デモや言論は許されない。
香港では、一国二制度のもと、対自国政府も含めてデモは許されていたが、その自由が脅かされている。
それどころか、政権に批判的な発言を行っただけでも拘束される可能性も出てくる。実際に、共産党政権に批判的な書籍を売っていた香港の書店オーナーが拘束されるという事件が2016年頃には起きている。
アメリカでも最近は政権に不都合な発言をするメディアがフェイクニュースを流したと政権側から批判されたり、自由な発言の中心であったSNSへの規制も報じられている。
今回のデモに関しても、ホワイトハウス近くで平和的な抗議活動を行っていた群衆に催涙ガスやゴム弾での制圧がされた、と言うニュースもある。
超大国であるがゆえに世界に敵の多いアメリカではあるが、民主主義、自由主義の象徴として認められているところは大いにあると思われる。そんなアメリカが自らその地位を貶めることがあれば、アメリカ離れが加速するのが目に見えてくる。