告別 香港

2020年5月28日、中華人民共和国の全国人民代表大会で「香港国家安全法」導入が採択された。香港が本当に心配になって来た。

先日の投稿(→こちら)では、香港には親しい知人はいないと書いたが、香港生まれの知人がいた。

1997年7月1日にイギリスから中華人民共和国に香港が“再譲渡”される前、香港に住んでいた人の中には、子供を国外に逃した人が多くいた。民主主義から一党独裁の共産党支配に変わることへの不安、香港と中国の経済格差への不安からだったと思われる。
香港が再譲渡される前年、1996年の一人当たりGDPを見てみると香港は中国の実に35倍だった。当時の香港から見れば、中国はまだまだ発展途上の貧しい国。
当時は、多くの子供たちがカナダに行ったようだ。

香港と中国の経済比較
(統計データは「世界経済のネタ帳」より)

知人もそんなカナダで育った香港人だった。2000年代の初め、中国が経済発展を始めようとしていた時期に、ルーツである中国文化・言語を習得しようと中国に戻って来た。元々が中国人(華僑)なので中国語が話せた方が将来的にも有利だと考えてのことだろう。

今でも連絡先が分かるのは一人だけ。久しぶりに連絡を取ってみた。今は、北京に住んでいる実業家、あまりセンシティブなメッセージの交換はできない。直接会って色々話を聞いてみたいところであるが、経済発展する中国で展開するビジネスに満足しているようである。
言論の自由より、豊かな生活。

確かに、2019年の香港と中国の一人当たりGDP格差は5倍程度までに縮小されている。
中国の一人当たりGDPは全国平均。
経済格差の大きい中国では、全人口14億人の内、6億人が月収1000元(1万5千円程度)とか。
一人当たりGDPと年収とは別物なので厳密には計算はできないが、それでも、上海や深圳などの大都会の一人当たりGDPは香港の水準を上回っている可能性はある。

昨年9月、デモが続いていた頃、台湾に住む中国人の友人は言っていた。対香港の中国共産党のやり方を支持する、と。当然、日本人の自分は民主主義が守られないやり方には賛同できない、と話したが。

香港が香港で無くなってしまう…

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