トイレ 彼我の違い
前回に続いてトイレの話し。話題としては避けることが多いが、生活上は避けて通ることができない。特に、海外に行くと少し驚く様な事もある。
少し前の中国には、俗にニーハオトイレと言う扉もお隣さんとの壁も無い“個室”が沢山あった。流石に外国人が使うホテルやレストランはそんなことは無かったので実際にお世話になった事はないが。
アメリカでも扉の無い“個室”を見た事はある。流石に壁はあったのだが治安上の問題。因みに、アメリカの個室は、空港でもショッピングモールでも、基本的には足元が見えるようになっている。これも治安上の問題。また、企業が沢山入っているビルやコンビニのトイレは、入り口が施錠されていることが多い。トイレに行く時は鍵を借りて行く。最近は4桁のパスコードを押せば良いところもあるが、いずれにしても、“鍵”が必要。
日本の街なかの大きなビルだと、相手先の会社に訪問する時に、まずは用を足してから受付に行き相手を呼び出してもらう、と言う事も多いが、アメリカでは基本的にはそんな事はできない。アメリカで会社に訪問すると、“飲み物は何がいい?”と言う質問と“トイレは大丈夫か?”と言う質問がセットになっている様な気もするので、今までトイレでそんなに困った記憶は無い。
さて、人里離れた所を旅するともう少し刺激的なトイレに出会う事も多い。中国の事情をいくつか紹介してみたい。
まずは序の口、人里離れてはいないが昨年暮れに行った天津。駅前に“車載公共衛生間”と書いたバスが停まっていた。一見、トイレ付きのバスなのかなと思ったが、それにしてもわざわざトイレ付きと書く事も無いよな、と思っていたら公衆トイレだった。
チベットに行った時のトイレ休憩。最大の都市ラサから、2番目に大きい街シガツェに行った時のバス移動。標高5000m超の峠越えの道を通るのだが、山道に入る前のポイントでトイレ休憩になった。ガイド曰く、建物は無いけど、大自然がトイレ。“人は誰も見ていないから大丈夫”。木々が植わっていて、人のいる気配は無い。女性客もいたが、“確かに人は居なかった”、と。けれども放牧されている毛牛(ヤク)がぬ〜っと寄って来た、らしい。
ラオス・ビエンチャンからTad Xiに行った時もマイクロバスの運転手が、一生懸命ラオ語で何か話しかけて来た。その時もトイレ休憩だったが、同様に何も無い所だった。
それに比べると、内モンゴル・フフホトに行った時のバス移動中に立ち寄ったトイレは素晴らしかった。上を見上げると綺麗な青空。ちゃんと壁のある公衆トイレだったので何も困る事は無いのだが。モンゴルは伝統的には遊牧生活だったのでゲル(中国語では包=パオ)と呼ばれる移動式テントで暮らすが、トイレは草原らしい。
トイレについては、日本に帰ってくるとホッとする。 いちいち話しかけてくれるトイレもあり、少し煩わしいと思うこともあるがこれはご愛敬。