東京オリンピックと原発

CNNのスポーツコーナーを見ていると東京オリンピックの中止に関する話題が頻繁にとりあげられている。日本の報道では、オリンピック開催中止が、少なくとも大手メディアのニュースでは、話題になることは無いように思う。

以前は、原発に対しても同じような態度だったな、と思い出した。

アメリカでは、スリーマイル島事故の後からだろうか、原発事故は起きるかも知れない、と言う前提で地域住民の避難計画の策定や訓練の実施がされたと聞く。

福島第一原発事故以前の日本では、少なくとも原発事故を想定した避難訓練は実施されなかった。避難訓練は、原発は危険だと言う意識を地域住民に与えるためによろしく無い、と言う理由だと聞いたことがある。

原発に限らず、全ての人工物は壊れるとこもある、と言う前提で最悪の事態を想定した対策を実施することは必要だと思う。原発については壊れない、壊れても大きな事故には繋がらない、と言う間違った安全神話ができていた。

東京オリンピックも同じことが言える。地震や台風など自然災害やテロなどへの対策は策定されているようであるが、今回のような伝染病への対策は策定されているのだろうか?

コロナウィルスによる大相撲の無観客場所、プロ野球やJリーグの開幕延期や試合延期など、スポーツにも様々な影響が出ているこの段階で、未だに、馬鹿の一つ覚えのように”オリンピックは中止しない、開催する”と言われても、”大丈夫なのか?”と逆に不安になってくる。

原発安全神話ならぬオリンピック神話、と言う絵空事に聞こえてくる。

もちろん、予定通り開催できる状況になるのが一番。

最悪の事態に備え、最良の結果を期待する“、と言うビジネスでも使われる言葉があるが、東京オリンピックのような大規模イベントにも当然この考え方は必要だ。報道機関の前では、最悪の事態は想定していないフリをして、本当はいろいろな事態を想定し、中止や延期、規模縮小などによる損失・悪影響を最小にするための対策が検討されていることだと信じたい。

2月末からの大規模イベントの中止、延期、規模縮小の要請は、まだ10日ほど継続してもらいたい、との政府の要請があったが、東京オリンピックは間違いなく世界が注目する大規模イベント。日本のコロナウィルスが終息に向かっても、他の国・地域で治まっていなければ当然開催には何らかの支障が出る。

東日本大震災、福島第一原発事故から丸9年、想定外を想定する大切さを思い起こしたい。

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