現金の時代 – 中国
前回書いたように、最近の中国ではスマホ決済が当たり前になっている。
しかしながら、日本が「平成」と言う元号に慣れてきた1990年代初めは違った。初めて出張で中国に行った時、当時の支店長がアタッシュケースに現金を詰め込んでいつも持ち歩いていた。多くの人がご存知の通り、中国紙幣の最高額面は100元(約1500円)。いくら物価が安かった時代とは言え、仕事で使う金額だと100元札を少なくとも100枚単位で持ち歩かないと行けない。
また、同じ銀行でも、地域が違うと他地域の口座の資金を引き出せなかったようだ。例えば、中国銀行の北京市内の支店の口座があっても、その口座のお金は上海の中国銀行の支店では引き出せなかった。相互に引き出せるようになったのは、今世紀になってから(のはず)。
移動の自由が制限されていた時代だったから、一般庶民は不便さを感じることが少なかったのかも知れない。不便な制度を変えるために採用する技術はその時点で世界最先端の技術。今まで築いてきたインフラという遺産が少ないから大胆に変えられる。
日本も明治維新や第二次大戦の後には、欧米からの最先端技術を導入して大きく変わったんだろうけど、ある程度のインフラが整備された今は徐々に変わることはあっても、大胆に変わることがなかなかないように思える。システムを変えていくには、現存システムとの整合性や資金など克服すべき課題はたくさんあると思うけど、「既得権益」を守るためだけに旧態依然としたシステムを守ることは避けて欲しいものだ。